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佐賀大学理工学部創立50周年記念式典式辞

  本日、佐賀大学理工学部の創立50周年を迎えるにあたり、文部科学省の北山高等教育局専門教育課長、 佐賀県の横尾産業労働部副部長、中村佐賀県工業連合会会長のご臨席を賜り、盛大なる記念式典を挙行できますことは、 誠に本学部の光栄と致すところでございます。
  ここに理工学部教職員を代表して、ご臨席いただきました皆様に厚く御礼申し上げます。
  ご承知の方もおいでと存じますが、佐賀大学は、佐賀高等学校、佐賀師範学校、佐賀青年師範学校を母体とし、 1949年(昭和24年)に文理学部と教育学部の2学部からなる新制国立大学として発足いたしました。理工学部は1966年(昭和41年) 4月に文理学部が改組され経済学部および教養部と同時に誕生しました。
  同年には14の新生国立大学が改組され、理学系はほとんどが理学部として発足しましたが、 工業振興を計ろうとする佐賀県をはじめ地元産業界の多方面からの絶大な支援を受け、理学系である数学科、 物理学科、化学科に加えて工学系である機械工学科、電気工学科が新設され5学科で構成された理工学部が創設されました。 明治維新と日本の近代化の歴史的役割を果たしたここ佐賀は、我が国の近代化を推し進める科学技術発祥の地と位置付ける こともできます。したがって、ここ佐賀に理工学部が設置されたことは意義深く、創立以来、一貫して理工学部の名称を堅持してきた 理念がここにあると言えます。
  その後、高度成長期に順次、工業化学科、土木工学科、生産機械工学科、電子工学科、建設工学科、情報科学科が 設置され、1988年(昭和63年)に学部教育における11学科体制の完成を見ました。この間、多数の有能な人材を輩出すると共に、 高度な技術者人材の育成要望もあり修士課程の大学院工学研究科が認められ、その後、理学系にも大学院が認められ理工学研究科 となりました。平成に入り、当時は地方大学では無謀ともいえる3専攻からなる博士課程の設置に教職員が一丸となって臨み、 1991年(平成3年)4月に博士前期課程、後期課程の区分制大学院として工学系研究科の設置が認められました。学士、修士、博士 の学位が授与できる学部、大学院と大きく成長しました。
  その後、理工学部は、1997年(平成9年)4月の改組再編を経て、数理科学科、物理科学科、知能情報システム学科、 機能物質化学科、機械システム工学科、電気電子工学科、都市工学科の7学科からなる現在の体制になりました。大学院工学系に あっては、1998年(平成10年)に文部科学省のご配慮があり独立専攻の設置が認められ、理工学部改組の学年進行に合わせた 博士前期課程の改組が進められました。2010年(平成22年)に大学院の再編を行い、研究科博士前期課程8専攻、博士後期課程1専攻 で構成される現在の工学系研究科に至っています。
  この様に、理工学部は発足以来今日まで時代の要請に対応して新設と改組再編と大学院の設置を行い、発展を遂げて 参りました。この間、多数の優秀な人材を社会に輩出すると共に、数々の研究業績を挙げ科学技術の進歩にも貢献して参りました。 さらに、佐賀の大学として地域の発展に寄与すべく、能動姿勢で産業界との連携・協力を積極的に行って来ております。
  この成長の歩みはひとえに、歴代の理工学部長をはじめ諸先輩方の一方ならぬご尽力と、歴代学長をはじめ、 学内関係者各位および地元関係者と同窓生各位の絶大なご支援の賜物であります。ここに深甚の敬意を表し、深く感謝申し上げます。
  ここ佐賀の地に理工学部が設置されたことは、日本近代史上の歴史的背景を踏まえた当時の関係各位の卓見で あったと思っています。一部は理学と工学の融合が進み、新しい価値の創造、国際化、情報化、技術の高度化に対応できる 体制に進化しつつあります。
  創業100年を超える日本の企業は約3万社あり、毎年1,000社以上増えているとのことです。この長寿企業の “本業を基本にして鋭意、改革と戦略的な対応による事業を継続”と言う姿勢を参考に、理工学部・工学系研究科は、 次の50年に向けて革新性を身に付ける必要があるのではないかと思います。人口減少の趨勢はこれまでの50年とは 異なる社会構成の変化であり、「知的財産の継承と新しい知的財産の創造」および「地域産業と技術の発展に寄与」 と言うこれまでのミッシュンに加え、「地域を創成する人材の育成」と「多様化に対応できるグローバル人材の育成」 も求められます。
  現在、平成30年(2018年)4月を目指して、ミッションの再定義で明らかとした、本学部・研究科の強みと 特徴を生かし、“地域創生”と言う新たなミッションに応えられるよう、部局を越えて連携、融合して機能強化を図った 組織再編の検討を進めています。私ども関係教職員は使命の達成のために、先人が辿ってこられた道程を忘れることなく、 一層の努力を行い地域と共に理工学部・工学系研究科の更なる発展・充実に邁進していきたいと考えています。 このたびの改組改編は、次の50年に向けてのスタートと位置付けることも出来ます。ご臨席の皆様の一層の暖かい ご支援とご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
  最後になりましたが、本日ご臨席の皆様の益々のご多幸とご健勝をお祈り申し上げ、私の式辞と致します。 本日は誠に有難うございました。

平成28年5月21日
佐賀大学理工学部長・工学系研究科長 石橋孝治