現在,多様性が尊重される中,女性の活躍の場を広げる必要性が求められています.また,国内の科学技術分野で活躍する女性研究者の比率は世界と比べて低い状況にあり,今後,国を挙げての対応が迫られています.佐賀大学理工学部に在籍する女子学生の比率は全体の17%(1〜4年生)で,分野への偏りも見られる現状です.
このような現状を踏まえ,女子中高生の皆さんが先入観などの障壁なく,理数系の学問に興味を持ち,積極的に理工系大学への進学を目指してもらえるよう,理工学部独自の広報活動に取り組み中です.
今回,佐賀大学理工学部に在籍中の2〜4年の女子学生に対し,大学生活についてのアンケート調査を実施しました(期間:2022年5月11日〜5月20日).これから大学進学を目指す中高生の皆さんに理工系大学への興味や関心を抱いてもらうきっかけになれば幸いです.
〇調査対象者:理工学部女子学生(2年生〜4年生)(回答率33%)
【Q1】現在の住所は 【Q2】自宅通いかアパート住まいか
担当者コメント:
佐賀大学理工学部に通う女子学生の2/3は佐賀県内に居住してます.ただし,佐賀県在住だからと言って,自宅通いというわけでもなく,そのうち7割がアパートもしくはシェアハウスといった形での1人暮らしのようです.また,アンケートに回答してくれた福岡県内居住の女子学生は,全員実家から大学に通っています.自宅からの通学に不安があったり,交通費や一人暮らしの費用面の不安もあろうかと思いますが,参考にしてみてください.
【Q3】アルバイトの有無 【Q4】部活あるいはサークルへの参加状況
担当者コメント:
学生の多くはアルバイトをしているようです.どのような職種かは調査できていませんが,身近な学生の情報によれば,大学周辺の飲食店,コンビニ,雑貨店,塾の講師や家庭教師など多種多様のようです.ただし,女子学生に特化したものではありません.アルバイト先は,情報誌,学生生活課での斡旋のほか,先輩・知人からの紹介で見つけることが多いようです.また,自宅生は近所あるいは通学途中の場所にアルバイト先を見つけるようです.
大学の部活やサークルの参加率を調査したところ,半数近くが所属している結果となりました.福岡県から通学する女子学生の90%はアルバイトをしており,そのうち28%は部活やサークルにも所属していました.同様に,佐賀県内から通学する女子学生の82.5%はアルバイトをしていて,そのうち63%が部活やサークルにも所属していました.やはり,佐賀県外からですと,アルバイトと部活動等すべてを行うのは時間的にも大変なのかもしれません.なお,福岡通学+アルバイト+部活+サークルといったスーパーリケジョもいるようです.
【Q5】佐賀大学理工学部(理系)を目指したきっかけは?
担当者コメント:
政府は大学で働く女性研究者の割合を2025年に工学系で15%,理学系で20%に引き上げる目標を掲げています.一方で,「女子は文系,男子は理系」といったジェンダーバイアスのほか,学校での教育や身近な家庭環境が女子学生の進路選択に大きく影響しているとの報告もあります.科学技術振興機構(JST)が実施した女子中高生の理系進路選択の意識調査によれば,半数以上が学校の先生や身近な家族からの影響を挙げています.
今回のアンケート結果にも学校の先生や親御さんからのアドバイスが理系を目指すきっかけとの意見もありましたが,純粋に数学や理科が好きであることや大学での専門分野への興味も相当数ありました.佐賀大リケジョが理工学部入学のモチベーションとして,純粋な向学心であったのは大変うれしい結果です.また,2019年度から開始した1学科12コース制の目玉である2年生からのコース選択の魅力を挙げた学生もおり,今後の理工学部カリキュラムや入試制度改革のヒントとなりそうです.
【Q6】佐賀大学理工学部に入学してよかったと思う点は?
以下,学生からのコメント(原文そのまま)を一部抜粋します.
担当者コメント:
学生さんのコメントを少しまとめると,「2年からのコース選択制度」,「コースに左右されない共通教育」,「チューター制度を含めた教員の丁寧な指導」といった大学教育システムへの評価のほか,「実家から通える」,「クラブやサークルの充実」,「佐賀での生活しやすさ」,そして「女子学生相互の結びつきが意外と強い」との感想のようです.理工系は男子ばかりと思わず,女子学生も安心して学べる環境にありますので,佐賀大理工学部で一緒に大学生活を充実させましょう!
【Q7】佐賀大学理工学部卒業後の進路 【Q8】卒業後に重視したいもの
【Q9】卒業後に希望する業種(※マイナビ業界分類を参照)
担当者コメント:
最近は就職活動も早まりつつあり,大学卒業後の進路も早々にイメージしておく必要があります.目下,理工系の就職状況が良好であることは,理工学部学生の就職率からもよくわかります(理工学部全体で100%(令和3年度卒業生)).
一方で,今回のアンケート調査対象者は学部2〜4年生でしたが,大学院への進学希望が就職希望に比べてやや多い結果となりました.また,2年生の44%が大学院進学を希望し,未定の31%よりも多いことに驚きました.女子学生の多くが自分の進路を早い時期からしっかり考えているようです.
希望する業種も理工学部がめざす「科学の探求」や「技術の創出と社会への還元」に深くかかわる「モノづくり」を筆頭に,情報・通信関連の最先端産業,官公庁でのグランドデザインを含む社会貢献などがイメージされているようです.
さらに,卒業後のライフスタイルでは,「仕事やキャリアの優先」,「プライベートを優先」のどちらか一方というよりも,「仕事とプライベートのバランスを取ったライフスタイル」をイメージしている学生が半数以上でした.女性の社会進出が期待される中,バランスを重視しつつ,社会に貢献したいという表れでしょうか.これからの佐賀大リケジョが社会のロールモデルとなるよう,大いに期待したいところです.
【Q10】これから佐賀大学に入学してくる後輩に一言お願いします.
【担当:山西(集計・とりまとめ),豊田・田中(徹)(校正・アレンジ)】